タイヤの適正空気圧について
タイヤの適正空気圧とは、安全性能を維持できる範囲内での、運転者の自由です。
タイヤには、タイヤが浮いてしまう状況を除いて、常に荷重がかかっています。4輪車であれば、4輪にかかる荷重を合わせると、車両重量(+荷物や乗っている人)になります。
この車両重量を各タイヤに分散させて支えています。この、車両重量を支えられる範囲内において、ユーザーの好みの空気圧が、適正空気圧だと私は考えます。
タイヤ1本あたりが支えている重量
停車中の、1輪あたりにかかる重量は、その車の重量バランスによって決まります。前後重量バランスが50対50の車であれば、前輪2本のタイヤにかかる荷重と、後輪2本のタイヤにかかる荷重は同じになります。
更に、左右の重量バランスが同じであれば、左右のタイヤにかかる荷重は同じになり、前後左右にかかる荷重が同じになるので、単純に、車体の重量を4で割ったものが、タイヤ1本にかかる荷重となります。
タイヤにかかる負担は変化する
荷物や、人が車に乗るだけで、この重量バランスと、総重量は変わりますし、元々の重量バランスは様々で、スポーツタイプの車を除いて、重量バランスが50対50の車は多くありません。
また、人が乗った状態で重量バランスがとれたとしても、走行してしまうと、加速時に後ろに、減速時には前に、カーブや交差点を右に曲がれば左に、左に曲がれば右に、かかる荷重が移動します。つまり、支える重さは車を走らせると変化してしまうということです。
人が立っている時でも、両足に均等に体重をかけている時もあれば、片足に全体重が移っている時もあります。片足に全ての体重が移った時、足が耐えられなければ、立っていることは出来ません。
それと同じように、タイヤ1本が支えなくてはいけない重さは、タイヤ1本あたりに、最も負担がかかってしまった時の重量です。
特に気を付けて欲しいのが、前輪にかかる重量です。
なぜかというと、車のタイヤが負担しなくてはならない最大の重量は、急ブレーキをかけた時の前輪だからです。
実際、急ブレーキをかけた時に、タイヤを変形させてしまい、タイヤの溝も残っているのに変形させてダメにしてしまった経験があります。
タイヤ1本あたりに最も負担がかかってしまった時の、支えなくてはいけない重量は、カーメーカーが、設計段階から、様々な荷重の変化にも対応できるよう、タイヤサイズと、空気圧を設定しています。これが純正タイヤです。(その他のこと、例えば乗り心地や、ハンドリングなども考慮されています)
ですので、新車を買ってまだタイヤを交換したことがない純正タイヤを使用している方は、基本的にはメーカー指定のタイヤサイズ、空気圧が良いのです。
純正のタイヤサイズがわからないという方、そろそろタイヤを交換しようと考えている方は、一度、純正のタイヤサイズと空気圧を確認してみてください。
確認の仕方は別のページで解説しています。
「純正のタイヤサイズを確認するには」)
新しくタイヤを購入する前に
タイヤを交換する場合には、まず、純正タイヤサイズを基準に、カーメーカーの推奨する、タイヤの負荷能力を確認する必要があります。
次に買うタイヤが、カーメーカーの推奨する負荷能力を持っていないと、急ブレーキなどで極端に負担のかかったタイヤが負荷に耐えられずに破裂してしまう危険性があるためです。
自分の車に必要な、タイヤの負荷能力を調べるには
カーメーカーの推奨するタイヤ負荷能力を確認する為には、まず、ドア付近に書かれているタイヤのサイズや空気圧について書かれているラベルの中にあるロードインデックス値と、空気圧を確認します。
画像の赤い□で囲った部分、
「86S」の86がロードインデックス(LI)です。
また、空気圧が前輪、後輪、ともに220kPaであることが確認できます。
ロードインデックスが86、空気圧が220kPa。この2つ情報を元に、カーメーカーが推奨する、タイヤの負荷能力を調べます。
タイヤの負荷能力を調べるには、タイヤの規格を調べる必要がありますが、純正タイヤの規格は、JATMA規格なので、JATMA規格の、空気圧毎の負荷能力一覧表を確認します。
(JATMA規格って何?タイヤの規格って?という方はこちらをご覧ください。)
負荷能力が「505kg」であるということがわかります。
つまり、カーメーカーが設計段階から必要だとしているタイヤ1本の負荷能力は505kgなので、負荷能力が505kg以上にできるようなタイヤを装着し、負荷能力が505kg以上となるように空気圧を調整すれば、それが適正な空気圧であるということです。
と、ここまでは、カーメーカーの推奨するタイヤサイズ、ロードインデックス、タイヤの規格、空気圧での負荷能力ですが・・・
自分の車のタイヤが純正ではなかったら
上記、505kg以上の負荷能力を発生させるために必要な空気圧が、220kPaでない可能性が出てきます。
例えば、中古車を買った方は、こんなことがあるかもしれません。現在履いているタイヤサイズもロードインデックスも純正と同じだけど、タイヤの規格が違うというケース。
この場合、空気圧を280kPaにしないと、カーメーカーの推奨する505kg以上の負荷能力を得ることができません。
このように、同じサイズのタイヤでも、カーメーカー推奨の負荷能力を得るためには、空気圧を変えなくてはいけない場合があります。
また、サイズだけでタイヤを選んでしまうと、空気圧で調整しようとしても、負荷能力が不足し、買ったタイヤが使えないというケースもありますので注意が必要です。
タイヤの規格別、空気圧毎の負荷能力表
タイヤの規格ってなに?という方はこちらをご覧ください。