ワイドレンジオイルのデメリット
エンジンオイルは温度によって、粘度が変化します。冷たくなれば固くなり、暖まればやわらかくなっていきます。
寒い時でも固くなりにくく、そのためエンジンの始動性が良く、暖まってきても厚い油膜を確保できるワイドレンジオイルですが、広い範囲の温度に対応できるワイドレンジなオイルであるほど、添加剤の効果に頼っている場合が多いことなどから、
100℃までの常用域での使用環境では高性能であってもそれ以上の温度になってしまう夏の渋滞や、サーキット走行などでは、熱による粘度の低下が大きくなってしまう場合があります。
例えば、
SAE 0W-40のオイルと、SAE 10W-40のオイルがあったとします。
どちらのオイルも温間時のSAE規格の粘度のクラスは40で、
0Wの方が冷間時の始動性が良いので、
10Wのオイルよりも幅広い温度に対応できる為、
SAE 0Wー40の方が良いオイルに見えます。
また、温間時のSAE粘度は40で同じなので、ほとんど性能は同じであるかのように見えます。
が、この場合には100℃の時の粘度がほぼ同じというだけで、100℃を超えてからは、10Wのオイルの方が粘度が高いという場合が多いのです。
これは、添加剤の効果が70℃~100℃のあたりで発揮されるということや、SAEでの粘度表記が温間時の性能を100℃の場合の粘度で表していることなどから、
100℃を超えての使用環境では、かえってワイドレンジでないほうがいい場合が多いということです。
夏の渋滞を除けば、通常の使用環境において、エンジンオイルの温度が100℃を超えるようなことはほとんどの車においてほぼありませんので、過酷な使用環境でなければ、ワイドレンジなエンジンオイルを使用した方が、車にとっては良いので、
値段が割高なことを除けば、ワイドレンジのオイルはおすすめです。
ただし、サーキット走行や、夏の渋滞の中で車を運用する場合には、温間時のクラスが同じものでも、冷間時のクラスの数字が大きいオイルを選んだほうが、熱に対して強い場合が多いと知っておくといいと思います。
エンジンオイル以外のオイルについて(余談)
ちなみに、エンジンオイルの他にも、ミッションオイルなどのSAE規格もありますが、ミッションオイルにおける一般的な「75w-90」という規格は、エンジンオイルにおける「10wー40」などと同等だったりします。
なので、ミッションオイルがエンジンオイルと比べて極端に固いなどという訳ではありません。